活動・レポート

13,000,000人。
労働人口4200万人の大国でフリーランス化が定着する理由とは。

個人事業主または個人企業として業務を請負う就業形態の一般総称が「フリーランス」である。特定の組織や会社、団体などに専従して所属することなく、国内既存の職業分類において「自由業」と訳される。

 
フリーランスという労働形態や用語は、中世ヨーロッパにおける王軍などの組織に所属しない傭兵に起源があるとされ、当時の戦闘単位「槍」になぞらえ「フリーランス」(自由の槍)と形容された。その労働形態が時代に沿って変化しており、国内では古くは文筆家や左官、大工に代表される職人が多く、特殊な才覚や技能を持った人材が一般的であった。
 
20世紀に時代が移り、社会の雇用形態は個人による主従関係の主体から企業単位へと変化していく。その中でフリーランスは、企業への被雇用から「独立」を果たした人材、という潜在的なイメージを獲得していく。個人の能力重視や独立志向が強い欧米社会では、企業間を渡り歩く経歴者や独立したフリーランスで在ることは個人の「能力の証」として認められる風土や文化の土壌となっており、フリーランサーという労働形態や生計の区分は、一般的なものとなっていった。

2000年、アメリカの政策評議会において、元ホワイトハウスのスポークスマンであったダニエル・ピンク氏により、ひとつのレポートが提出される。アメリカのフリーランスの実態を自らの足で横断調査したそのレポートは「全米国内の就業人口4200万人のうち、1300万人・就業人口の4人に1人が、なんらかの形態でフリーランサーとして就労している」という内容であった。

 

日本国内におけるフリーランス人口の調査は、1990年代後半以降、明確な定義が統一されることなく、現状を把握することは難しい。1990年当時の調査では「自由業者の数が 200万人から230万人・事業所の登録数600万ヶ所以上」との数字があるが、これは日本国内の就業人口で考えると40分の1程度となり、米国の調査数値の水準とは1桁少ない状況となる。

 
当時の20世紀末期における社会情勢と、現在の21世紀以降の数十年間では、インターネット社会の登場により、雇用や労働を取り巻く情勢は最も速く大きな変化を遂げており、自由業という労働形態の定義や実際の職業分類の内情は、社会情勢に比例して大きく異なっていることが予想される。

その現状と定義との乖離を把握して、時代に沿った姿を明確にするため、その現在の実態は改めて正確な調査と定義が必要である。

 

例えば、国勢調査における在宅事業者、個人事業主の分類には「テレ・ワーカー」の記述がある。これは当時の概念における「電話アポインター」と呼ばれる営業代行の従事者、当時の在宅業務の実体としては「保険外交員」などを広義に含んだ用語であったと推察できる。現代政策においても未だこの「テレ・ワーカー」という概念と用語は継続されているが、インターネットや携帯電話が普及する以前の主体業界と、現代の「在宅事業者」が行っている業務内容や職種は、大きく様変わりして業種や形態が拡大しており、はたしてこの「テレ・ワーカー」が示す遠隔従業の定義や概念が、そのまま現代に通用しているとは考えにくい。

 
21世紀、世界中を結び、企業間の消費活動ではなく、個人と個人を接続することを可能としたインターネットの爆発的な普及により、企業による雇用を前提としたビジネスの壁を超えた、新しい職業分類が急速に増えていった。その中で、フリーランサーの定義や実態も、大きく変化していく。インターネットなどのツールが整備され、企業型社会が揺らぎ、社会の認識や情勢は少しずつ変化している。その中で個人単位の労働としてフリーランスは再び回帰の傾向を見せており、その形態はますます多様化していく。
 
21世紀の現代社会において、時代に沿ったフリーランスの定義とはどんな姿なのか。その中で産まれた新しいフリーランサー像とは、どういった労働形態なのか。
フリーランスの現状と現代社会の間にある乖離を埋める制度やシステム、実態調査や社会への認知、もういちどフリーランスを再定義することが求められている。
 

 

日本フリーランス協会が定義するフリーランサーの分類は、従来型フリーランスと近代型フリーランスに区別される。

 

定義1

特定の企業や団体、組織に専従しておらず、自らの才覚や技能を提供することにより社会的に独立した個人事業主もしくは個人企業法人である。

定義2

「ワークスタイルとしてのフリーランス」という生き方を自主的に選択した、職業選択の自由によって産まれた労働形態と生き方の両立である。

定義3

その請負契約の成立前提には、以下のような状況がある。
 
(1):法人・個人を問わず、法律に定められた事業に関する届出および許認可を完了した事業者であること。
:活動する事業分野に於いて、具体的に社会に貢献できる技能・サービス・コンテンツ・設備などを有していること。
:事業の実績として、個人であれば確定申告・法人であれば年度決算を1期以上行い、法律に定められた適切な認定・義務を確認できること。
 
(2)上記(1)に関わる確認書類を求めに応じて提出できる事業者であり、事前に面談および審査のうえ発注案件への請負義務を完遂できること。
 
(1・2)どちらかの条件が否となる事業者は、その定義を認められない。

(1)「従来型フリーランス」

 

ア)能力や職種経験を活かす職業、技術が必要となる「職人型」の職業である。

・資格取得や経験年数を経て独立。
・自らの意思技能による経済的自立。
・労働意欲が豊富で、技術が高い。

イ)日本でこれまで考えられてきたフリーランスまたは自由業の定義に近い人材。

・会社や企業、団体などに所属せず、案件に応じて自由に契約する働き方の労働形態に従事する人材。
・個人事業主としての開業届、その他公的に定められた手続を完了しており、納税の義務を果たしている。

ウ)従来型フリーランスの労働形態と生き方

・職種や能力における定義 … 「自らの能力や技能によって」
・就労や契約における定義 … 「会社や企業などの雇用に依存することなく」
・生計や社会における定義 … 「経済的に独立、自立しており、納税義務を果たしている」

エ)代表的なフリーランス職種

・能力や職種経験を活かす職種

例、グラフィックデザイナー/フリーライター/カメラマン/システムエンジニアなど

 

オ)個人事業主が多い職種

・技術が必要となる「職人型」の職業

例、大工/左官職人/電気技師/建具工房/伝統工芸職など

 

(2)「近代型フリーランス」

 

ア)店舗経営者や自営業などが多い職種、社会環境の変化により増加する職種である。

・早期退職や店舗開業を経て独立。
・社会情勢の変化により、企業に依存しない非雇用従事者が増えている。

イ)日本フリーランス協会が考える「フリーランス」の定義2に近い人材。

 
・「ワークスタイルとしてのフリーランス」という生き方を、職業選択の自由として、自主的に選択している。
・これまでの「フリーランス」層の定義では、時代や社会環境の変化に対応できておらず、新しい定義が必要となる。

ウ)近代型フリーランスの労働形態と生き方

・職種や能力における定義 … 「自らの経験や独自のノウハウ、個人の資産を活用して」
・就労や契約における定義 … 「自らの社会参加や社会貢献へのスタイルとして」
・生計や社会における定義 … 「雇用される形態ではなく、自らの生計を独立する就労形態

エ)「フリーランス」の中小企業…

・店舗経営者や自営業などが多い職種

例、不動産オーナー/大家/フランチャイズ店舗加盟者/個人商店の経営者など

 

オ)新しい「フリーランス」層…

・社会環境の変化により増加する職種

例、早期退職によるセカンドライフ/企業外部顧問/個人投資家/個人ウェブ輸入業者など

上記の定義は、ご自由にダウンロードして転載・使用いただけます。ただし、ご使用の際は、以下の文責を明確にするようお願いいたします。
文責・提言:日本フリーランス協会
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